卒業研究スケジュール

公開日:2019-05-25
最終更新日:2021-06-07

卒業研究は約1年間かけて取り組むという長期戦になります。このような長期戦を考える際には、いくつかのフェーズに分けて考えると良いでしょう。奥研では、卒業研究スケジュールを導入・展開・結論の三部構成として考えます。以下、フェーズごとに到達目標を示しながら、取組み内容について述べます。

導入フェーズ(3年次9月下旬~12月)

研究の導入部分にあたります。ここでの到達目標は、下記のとおりです。

  • 世の中の研究動向を踏まえて、研究テーマの位置付けを説明できる。
  • 研究テーマのリサーチ・クエスチョンを説明できる。
  • システムインタフェースを含めたユーザストーリを説明できる。
  • 合同研究会において研究テーマを発表できる。

まず、3年次後期の開始時である9月に研究テーマを提示します。奥研では、一人一つの研究テーマをもちます。提示されたテーマから興味のあるテーマを一つ選択します。研究テーマが決まれば、個別ミーティングを中心に研究テーマの内容を掘り下げていきます。ここで、研究動向を踏まえた研究テーマの位置付け、リサーチ・クエスチョン、システムインタフェースを含めたユーザストーリを具体化していきます。そして、12月頃に開催される他大学との合同研究会において、研究テーマを発表します。ここでは、研究テーマのこれからの方向性や方法論について他大学の教員や学生からコメントをもらうことが狙いです。もらったコメントを踏まえて、研究テーマをさらにブラッシュアップしていきます。

このフェーズを通して、自分の研究テーマを他者に説明する力を養います。研究テーマについて、自分の言葉で説明できるようになって初めてそのテーマについて理解できたといえます。また、相手の知識に合わせて説明できるようにします。説明する相手が研究室の教員であるのか、先輩、同僚であるのか、低学年の学部生であるのか、他大学の教員、学生であるのか、高校生であるのか、両親であるのかなどによって、説明の仕方は変わってきます。このフェーズで、研究テーマについてしっかりと説明できるようになっておくと、例えば就活等で研究テーマの説明が求められたとしても、スムーズに説明することができます。

展開フェーズ(3年次1月~4年次6月)

導入フェーズで設計したリサーチ・クエスチョンを検証していくフェーズになります。ここでの到達目標は、下記のとおりです。

  • 実験目的を説明できる。
  • 実験条件および実験計画を説明できる。
  • 実験を実施し、収集した実験データを基に考察し、説明できる。

まず、実験を通して何を明らかにしたいのか、実験目的を設定します。この実験目的はリサーチ・クエスチョンに対応したものになる必要があります。その実験目的に掲げたことを検証するため、実験条件を設定し、実験計画を立案します。実験方法としては、あらかじめ正解データを含んだデータセットを用意しておき、それを用いてコンピュータ上で精度等を評価するオフライン評価や、開発したシステムを被験者に使用、評価してもらうユーザ評価などがあります。実験目的に応じて適切な実験方法を選択します。実験を実施し、実験データを収集したら、その実験データを基に考察します。

特に、実験を遂行するにあたって、データ処理やシステムなどが必要になります。このフェーズでは、これらにも取り組みます。これらに関連する到達目標は、下記のとおりです。

  • 研究テーマに関連するデータセットについて説明できる。
  • データ処理を含めたシステム構成を説明できる。
  • システム構成に沿ってサブタスクに分割し、サブタスクごとの問題定義を説明できる。
  • システムのデモを交えてシステムの挙動を説明できる。

まず、研究テーマに関連するデータセットを準備し、データベースに取り込みます。そして、データ処理を含めたシステム構成を設計します。そのシステム構成に沿ってサブタスクに分割します。サブタスクごとの問題定義を行います。問題定義とは、与えられた条件において、解決すべき課題を設定することです。このように、大きなシステムもなるべく小さなサブタスクに分割して取り組むことが大事です。

このフェーズを通して、実験計画法を修得します。特に、実験データを基に統計解析する方法を修得します。また、Linux上での開発環境の構築方法を修得し、PostgreSQL等のデータベース管理システムの操作に慣れ、データベース技術を修得します。さらに、システム開発のためのコーディングを行います。奥研では、プログラミング言語として主にPythonを用います。基本的には、推薦システムを実装し、その実装の過程で、機械学習やデータマイニング等の情報技術や数学の理解を深めていきます。

結論フェーズ(4年次7月~9月)

展開フェーズで揃えた材料を基に議論を深めます。ここでの到達目標は、下記のとおりです。

  • 提示したリサーチ・クエスチョンに対する解を説明できる。
  • 提案システムの利点、欠点を説明できる。
  • システムの限界点を踏まえた今後の課題を説明できる。
  • 中間発表において卒業研究の成果を発表できる。

まず、最初に提示したリサーチ・クエスチョンに対応した解を示します。そして、提案システムの利点および欠点について議論します。特に、システムの限界点について述べ、それに対する今後の課題を提示します。ここで提示した今後の課題は、後輩が研究に取り組む際の参考になります。8月~9月には、他大学との合同研究会兼奥研中間発表会を行います。新しく配属された3年生にもわかるように説明できるようにします。この段階でほぼ卒業論文として最低限の要件が揃うことを目標にしています。

クライマックスフェーズ(4年次9月~3月)

以上のフェーズを通して卒業研究としての要件はクリアできます。残りの期間は、ここまでで得られた成果を学外に向けて発信していくフェーズになります。具体的には、合同研究会での発表1回、学会発表1回、Webでの情報発信を目標にします。合同研究会は、例年どおりであれば12月に開催されますので、これを目標にします。学会は、さまざまなものがありますが、学会のトピックや発表形態、規模、開催時期、開催地などを踏まえながら、参加する学会を決めて論文を投稿します。また、1月に卒業論文提出、2月に卒研発表会があり、卒業するためにはこれらに合格する必要があります。ですが、学会発表を目標に進めていれば、合格ラインは十分に達成できると思います。

また、このフェーズは、学部生活の最後の半年になります。進学か就職かによらず、卒業後の準備期間として重要な時期になります。学会準備や研究室の全体研究会等はありますが、それを差し引いても、自由に使える時間は比較的多いです。卒業研究を通して、より興味を深めたい、もっと勉強したい、といったことに気付いたり、意欲が湧いたりすると思います。是非、この時間を有意義に使って、知識や技術をさらに深めたり、幅を拡げたりしてください。もちろん、卒業研究の内容をさらにブラッシュアップさせて、学会発表に臨むということも良いです。特に大学院に進学する学生は、この時期にさらに研究を深めておくと、大学院開始時からのスタートダッシュにもつながるでしょう。


休暇

  • 年末年始休暇(12月末~1月頭)
  • GW休暇(5月上旬)
  • お盆休暇(8月中旬)

奥研では、休暇を大事にします。冒頭で述べたように卒業研究は長期戦になります。例えば1週間後に試験を控えているというような短期戦であれば、それまで休まず勉強し続けて試験に臨むというやり方もできると思います。ですが、それを1年間続けるには身体も心ももちません。普段から、やるときはやる、休むときは休む、あるいは遊ぶときは遊ぶといったようにメリハリをつけた生活が大事と考えています。休暇を利用して、旅行に出かけたり、本を読んだり、映画を観たり、博物館で鑑賞したりすることも奨励しています(コロナ禍で難しいものもありますが)。これらの活動を通して、見分を広めたり、感性を養ったりということも長期的には大事になります。研究に行き詰ったときに、こういった経験が生きてくることもあります。もちろん、休暇中に勉強して知識をさらに深めるということも良いでしょう。休暇期間というのはバッファ期間という意味合いももちます。研究の進捗が遅れ気味の学生は、この期間をうまく利用して、遅れを取り戻しましょう。